ザ・クインテッセンス 2016年2月
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日本歯科大学口腔リハビリテーション多摩クリニック連絡先:〒184‐0011 東京都小金井市東町4‐44‐19菊谷 武What can Dentist Do for Dementia Patients?Takeshi KikutaniFEATURE特 集 3認知症患者に歯科ができること 日本の認知症患者数は,2012年の時点で約462万人,65歳以上の高齢者の約7人に1人と推計されている.さらに,軽度認知障害(MCI:Mild Cognitive Impair-ment)と推計される約400万人を合わせると,団塊の世代が75歳以上となる2025年には,認知症患者数 認知症とは,後天的に認知機能が低下し,それにより日常生活を自立できなくなる状態を指す.認知症を引き起こす病気のうち,もっとも多いのは脳の変性疾患によるもので,アルツハイマー病,前頭・側頭型認知症,レビー小体病と呼ばれる疾患である.次いで,脳梗塞,脳出血,脳動脈硬化などによる脳血管性認知症と呼ばれるもので,同様に脳の機能に機能をきたす恐れのあるさまざまな疾患によはじめに1.認知症とは?は700万人前後に達し,65歳以上の高齢者の約5人に1人を占める見込みという.人口の高齢化にともない高齢歯科患者も増加し,認知症患者の増加も予想される.本稿では,歯科における認知症患者に対する考え方を提示する.り認知症を呈する(図1).認知症の症状は,いわゆる中核症状(記憶の障害・見当識障害・判断力の障害・実行機能の障害など)とBPSD(Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia)と呼ばれる認知症にともなう徘徊や妄想・攻撃的行動・不潔行為・異食などの行動・心理症状など随伴症状に分類することができる(図2).いずれの症状も歯科にまつわるさまざまな問題に影響を与える.84the Quintessence. Vol.35 No.2/2016—0334

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