ザ・クインテッセンス 2016年3月
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審美補綴:天然歯編 さらに当該歯に歯冠補綴の必要性がある場合,破壊された生体の防御システムの再構築という概念から考えると,補綴装置のマージン設定はどの位置にするのが理想なのか,また天然歯補綴と比較してインプラント治療でのアバットメントや上部構造と周囲軟組織の関係はどのような特別な配慮が求められるのか,など多くの臨床的疑問が出てくる. そこで本稿では,インプラント補綴は別稿に譲り,まずは生物学的原則としての“歯肉を構成する結合組織が上皮に与える影響”を再考し,生物学的バリアの再構築としての天然歯の補綴装置と上皮との間で起こるクリーピングについて臨床的考察を加えてみたい.1 歯肉と歯槽粘膜の違いは? 口腔内の肉眼的観察において,一般的には歯肉と歯槽粘膜の判別は容易であり,両者の境界部である歯肉-歯槽粘膜境の位置を把握することもそう困難43the Quintessence. Vol.35 No.3/2016—0531
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