ザ・クインテッセンス 2016年3月
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FEATURE特 集 2 日本は高齢化率26%の超高齢社会を迎えている1.それにともない在宅療養患者も増加し,近年,家族や在宅主治医からの依頼によって訪問歯科診療,訪問嚥下診療を行う機会が増えている.在宅療養患者はさまざまな要因で「食べること」に問題を抱えている.平成27年11月に当院訪問歯科診療センターで訪問歯科診療を行った596人の患者を対象に,機能的経口摂取の状態(FOIS:functional oral intake scale 図1)を調査したところ,普通食を食べることができていた患者(Level7)は104人(17.4%)にすぎなかった.訪問歯科診療を受けている在宅療養患者の80%以上が食べることに何らかの問題を抱えている鹿児島県開業 太田歯科医院連絡先:〒890‐0063 鹿児島県鹿児島市鴨池2丁目24‐14太田博見/田實 仁Hiromi Oota, Megumi Tajitsuキーワード:訪問嚥下診療,食支援ことになる. 「食べること」の問題の大きな原因の1つとして嚥下機能障害がある.在宅療養において摂食嚥下機能障害は低栄養や誤嚥性肺炎の原因となりうるだけでなく,QOLの低下にもつながる.高齢者にとって一番の楽しみは「食べること」であるといった調査2もあるように,在宅療養患者やその家族にとって「食べること」は喜びや生きる希望につながる大きな意味をもつ3. このような状況のなかで,当院訪問歯科診療センターでは平成21年より訪問嚥下診療において400例を超える嚥下内視鏡検査を行ってきた.今回,平はじめに400超症例の嚥下内視鏡検査を用いた訪問嚥下診療の経験からみえてきたことHaving seen it from Experience of Visit Swallow Medical Examination and Treatment using Video Endoscopy more than 400 casesMovieスマホで動画が見られる!(使い方:P3参照)P7668the Quintessence. Vol.35 No.3/2016—0556

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