ザ・クインテッセンス 2016年5月
6/8

目指すはVictory Smile !! 少子超高齢社会のいま,一生にわたって口腔の健康を守り,全身の健康を維持していくことの重要性があちこちで叫ばれている.そのようななか,スポーツ歯科のなかでもとくにジュニア・ユース世代に関しては,あまり誌面で取り上げられてこなかったように思う.スポーツ歯科=マウスガードという風潮があるが,スポーツ現場とどうかかわるかという原点が見過ごされがちである.今回は「スポーツ現場と歯科の現状の乖離」,「どうすれば子どもの歯を外傷から守れるか」,「現場でのコミュニケーション法」,「マウスガード製作法」などについて論じていく.そして,われわれの活動を通して,選手たちが魅せてくれる勝利の瞬間の最高の笑顔(筆者は“Victory Smile”と名付けた)に貢献し,いかにしてVictory Smileを育み,守れるかを論じていく.1今,スポーツの現場は 筆者は2000年より,アメリカンフットボール日本Xリーグ所属オンワードスカイラークス(2008年廃部)をはじめとして,アスレティックトレーナー・スポーツ鍼灸師(図1a)として現場で選手たちと向き合ってきた.2004年にはオンワードスカイラークスのチームデンティストとして活動を開始し,日本におけるアメリカンフットボールの最高峰であるライスボウル優勝(図1b,c),甲子園ボウル準優勝,クリスマスボウル4連覇にも貢献してきた. スポーツの現場の最前線に身を置くなかで,スポーツ中の顎口腔内の外傷,脳震盪やバーナー症候群のような頭頸部の外傷,う蝕や智歯周囲炎などの痛みを多く目にし,外傷の予防や口腔内コンディショニングの重要性をつねに強く感じてきた.イングランド・プレミアリーグでのう蝕問題(8クラブ187名の選手を調査したところ,その約40%がう蝕に悩まされていたが,ほとんどのクラブが歯科医師をチームに加えていなかった),米国での10歳以下のヘディング禁止(昨年11月,米国サッカー協会は,10歳以下の子どものヘディングを禁止,11~13歳以下は練習中のヘディング回数に制限を設けると発表した)などの報道などをみると,スポーツと歯科医学の関連性へ関根陽平東京都開業 みはる矯正・歯科医院連絡先:〒145‐0062 東京都大田区北千束3‐25‐13 2Fジュニア・ユース世代の歯を外傷から守る今,スポーツの現場とどうかかわるか?UNDER20175the Quintessence. Vol.35 No.5/2016—1147

元のページ 

page 6

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です