ザ・クインテッセンス 2016年6月
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ドライマウス知っておこう!FEATURE特 集 2鶴見大学歯学部地域歯科保健学教室連絡先:〒230‐8501 神奈川県横浜市鶴見区鶴見2‐1‐3山本 健キーワード:ドライマウス,口腔水分計,口腔湿潤剤,モイスチャープレートManagement of Dry MouthKen Yamamotoはじめに ドライマウスによる痛みや不快感,食欲不振,症状に対する不安感などは,患者のQOLを低下させるのみならず,口臭,う蝕,歯周病,味覚障害などさまざまなトラブルの原因になりうるとして注目されるものとなった.超高齢社会を迎え,全国民的に看護や介護にかかわる状況が急速に増加した本邦では,その現場を通じて,ドライマウスのもたらす問題に難渋する機会が増えてきているように見受けられる.本稿では,そういった背景も踏まえ,改めてドライマウスについて述べたいと思う.1. ドライマウス患者への対応 のポイント 口腔の乾燥感や乾燥に起因すると感じた種々の不快症状から,患者は「自分は何かしらの病気のため,唾液分泌量が極端に減少しているのではないか?」と解釈し,さまざまな医療機関へ足を運ぶ.初診患者として医院へ訪れた時点では,「漠然とした乾燥感」としか自分の症状を説明できない場合が少なくない. こういった場合,唾液の働きを念頭に置いて傾聴することで,患者の求めるニーズや解釈モデルが把握しやすくなる.病状や経過を聴取すると,あたかも“唾液の機能不全”といえるような症状が患者の口から語られる.歯科医師が患者の訴えや病状を把握すると同時に,患者自身に起こっているイベントを説明し,理解と協力を得ながら診療を進めるために,加齢の影響や唾液の機能について大まかに整理しておくことが重要である.76the Quintessence. Vol.35 No.6/2016—1310

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