ザ・クインテッセンス 2016年6月
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歯内療法の説明ステップ実際の症例に学ぶ患者が安心するSTEP4STEP3STEP2STEP1FEATURE特 集 3 歯内療法は,そのままでは暗くてよく見えない根管と臨床上観察できない細菌を相手にした治療である.根管は管(チューブ)のようにまっすぐ均一な状態になっているわけでなく,湾曲,イスマス,フィン,合流や分岐,側枝,と複雑な形態を有している(図1).そのうえで,根管内外でバイオフィルムを形成しているかもしれない細菌感染,象牙細管内に侵入しているかもしれない細菌感染をイメージしながら,器具と薬液で根管形成・根管洗浄を行っていく. このような治療を専門的な知識のない患者に言葉だけで説明して,どこまで適切に理解してもらえるであろうか. さらに,歯内療法に関連する治療には患者が痛みをともなっていることが多く,処置に緊急性をともなう場合もある.しかし,どのような治療なのか理解が不十分のまま処置を進めると,処置後の違和感や治療回数などで,不安感が増悪しかねない. 小児歯科に「Show & Tell」という治療アプローチがあるが,歯内療法の一連の治療も同様であろう.患者側が直接観察できず想像がおよばない治療に対し,できるだけ説明の時間をとれば,患者側の理解や協力が得やすく,以後の治療が進みやすい. 本特集では,患者側がイメージしにくい歯内療法をどのように説明していくか,初診時から治療前までのステップごとに言及すべき点と表現の実例を交えながら解説していく(図2).川勝歯科医院連絡先:〒167‐0051 東京都杉並区荻窪5‐18‐17田中利典キーワード:根管治療,治療説明,コミュニケーションConsultation before Endodontic TreatmentToshinori Tanakaはじめに図1 根管は管(チューブ)のようにまっすぐ均一な状態ではなく,湾曲,イスマス,フィン,合流や分岐,側枝,と複雑な形態を有している.106the Quintessence. Vol.35 No.6/2016—1340

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