ザ・クインテッセンス 2016年6月
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臨床力!はじめに かかりつけ歯科医として,長い目で子どもにかかわっていくことは,子どもの健康な口腔および健全な口腔機能を獲得するうえで極めて重要なことである.しかし,一般開業医(GP)ではどうしても対応に苦慮する,介入を躊躇する,あるいは治療が奏功しないなどのケースも日常臨床では遭遇するであろう.そのようなケースになんとか自院で対応しようと悪戦苦闘しているうちに,適切な介入のタイミングを逃してしまうという不幸な事態もあるようである.また,保護者にせがまれ,なかなか紹介に至らない場合もあると聞く.しかし,自院での対応が難しい場合は,速やかに小児歯科専門医に紹介することが患児の利益になると考える. そこで,今回は,一専門医から多くの標榜医に「GPが対応に苦慮するケース,GPからよく質問を受けるケース」と「小児歯科専門医へ紹介することが望ましいケース」についてお伝えし,子どもたちの口の健康をともに考え,小児歯科医療の質の向上を図っていきたい.1低年齢児,非協力児への対応 GPが小児歯科専門医へ紹介したい症例は,やはり低年齢や通常の治療に非協力的など,患児への対応が難しい場合であろう.そのような場合の専門的な技法は,Tell-Show-Do法,模倣を利用して行動を獲得するモデリング法,絵カードを利用したTEACCH法,声の強弱,高低,口調などを適宜調節して話しかけることにより患者に働きかけるボイスコントロール法などある(図1).しかし,慣れていないとチェアタイムばかり長くかかってしまい,また治療も“安心,安全,確実な”治療効果が得られない.訓練をして治療ができるようになるケースもあるが,そのアイドリングタイムで病状が進行してしまうような場合は小児歯科専門医にご紹介いただきたい. また,昨今は「アスペルガー症候群」や「LD(学習障害)」「ADHD(注意欠陥・多動症)」など自閉症スペクトラムの子どもたちと多く遭遇する.一見,通常臨床力!小児歯科こんなときどうする?専門医の立場から埼玉県開業 アリスバンビーニ小児歯科連絡先:〒351‐0011 埼玉県朝霞市本町2‐5‐23 フタバビル4F丸山進一郎169the Quintessence. Vol.35 No.6/2016—1403

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