ザ・クインテッセンス 2017年1月
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明日の臨床にすぐ生きる!安全・簡単にできるファイバーポストの除去はじめに 歯科医療の技術革新は遅くて,気づくと10年前と同じ治療を相変わらずやっていたりする.新しい器材は出ては消えてゆく.「自分は新しいものには飛びつかないで地道にやっていこう」と考える.けれども,歯科医療の技術革新は案外早くて,周りの先生は自分の知らない方法をどんどんやっていたりする. 20世紀末には根管治療後のレジンコアがまだ十分な信頼を得られていなかった.そういう時代にファイバーポストが提案され,使用が始まった.「ファイバーポストで大丈夫,メタルポストよりもむしろよい」と信頼されるようになったのは,5年くらい前からだろうか.現在では保険診療にも採用されるほどで,今後の急速な普及が予想される1.ただし,ファイバーポストで治療された歯がすべて良好な結果になっているはずはなく,再根管治療のために除去しなければならない症例も出てくる.自分は使っていなくても,周りでの使用が増えてくると新しい技術にも対応していかなければならなくなってくる.そこで本稿では,まだあまり語られることが少ないと思われるファイバーポストの除去法について解説する.ファイバーポストで築造された歯の特徴 ファイバーポストを使用した築造は,直接法と間接法がある.間接法のポストコアは条件によっては金属製の築造と同様,脱落しうる.直接法でコア材のレジンがアンダーカットに入って歯のなかで固まれば脱落することはない.ただし,歯根破折歯では脱落する(図1~3). 築造の種類や方法にかかわらず,築造体が脱落した場合は歯根の破折を疑ったほうがよい.築造がどのような材料を使用しているかはデンタルエックス線写真で診断する.メタルポストやスクリューポストはすぐ判別できる.ファイバーポストとコンポジットレジンで築造した症例を図4,5に示す.単根であればファイバーポストの存在に気がつきやす吉岡隆知How to Remove Glass-fiber Post in Safety and EasilyTakatomo Yoshiokaキーワード:ファイバーポスト,メタルポスト,除去,支台築造東京都開業 吉岡デンタルオフィス連絡先:〒101‐0062 東京都千代田区神田駿河台2‐3‐13 鈴木ビル1F110the Quintessence. Vol.36 No.1/2017—0110

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