エンド-ペリオ病変?83the Quintessence. Vol.40 No.7/2021—1707配であるが,本稿では,エンド-ペリオ病変の基礎的な知識から,診断,治療,また,誤ってエンド-ペリオ病変と認識されがちな状態について解説していく.1.エンド-ペリオ病変の分類 1963年にSeltzerら10は,「う蝕や修復物がない歯でも,深い歯周ポケットに面して根尖孔,根尖分岐あるいは側枝が開孔している」と述べ,歯髄の変性,壊死が起こりうることを報告した.すなわち,逆行性歯髄炎(上行性歯髄炎)のことである. このように古くから歯周病と歯内療法疾患が共存する状態についての考察が行われてきた.そうしたなかで,Simonら1が病因を分類してまとめている.当時,Simonは退役軍人病院歯内療法部門主任かつ南カリフォルニア大学歯内療法学准教授であった.この論文は1972年にJournal of Periodontologyに掲載され,2013年にJournal of Endodonticsに転載,再掲された.歴史的には,エンド-ペリオ病変は歯内療法の分野から発表された概念といえる. エンド-ペリオ病変の分類はいくつか提案されているが,Simonの分類をふまえて,次に挙げるものがよく用いられている.通常は,Ⅰ~Ⅲ型までだが,医原性のものをIV型として加えることもある11.Ⅰ型:根尖病変由来で,瘻孔が歯周ポケットに開口している(primary endodontic disease).
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