ザ・クインテッセンス 2021年10月号
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Movie岩渕博史*/澤田しのぶ*1/守谷恵未*2/角 保徳*3代表連絡先:〒329‐2763 栃木県那須塩原市井口537‐3**国際医療福祉大学病院歯科口腔外科/*1神奈川歯科大学附属病院*2国立長寿医療研究センター先端診療部歯科口腔外科/*3国立長寿医療研究センター歯科口腔先進医療開発センター 口腔内細菌や歯周病が口腔内のみならず,さまざまな全身性疾患へ影響を及ぼしていることは広く知られるようになった.なかでも,要介護高齢者や神経難病患者,重症心身障害児者のように寝ている時間が長く,嚥下機能が低下した患者では誤嚥性肺炎発症リスクが高まる.これらの患者では,誤嚥性肺炎の原因菌となる口腔細菌を減少させるため,口腔清掃は大変重要である. プラークは,専門的な器具を使用しなくとも,ブラッシングなどである程度除去することが可能である.一方,歯石は歯面へのプラーク付着を促進させることにより口腔衛生状態を悪化させるため,その除去はプラークコントロールなど口腔衛生管理においても大変重要である.歯石除去には手用スケーラーや超音波スケーラー,近年ではYAGレーザーが用いられているが,多数の歯石が付着している場合,手用スケーラーでは多くの時間を要するため効率が悪く,処置が長時間に及ぶという欠点がある1. また,超音波スケーラーによるスケーリングでは水を多量に使用するので,咳反射や嚥下機能に障害のある患者やギャッチアップのできない患者では誤嚥性肺炎起炎菌を含む唾液などが混和した廃液を誤嚥させるリスクがある.そのため,多くの寝たきり患者などでは積極的に歯石除去が行われてこなかったことから,多量の歯石付着を認めることが珍しくない. 角2は,口腔ケア時の洗浄水の誤嚥のリスクを低下させるため,水の代わりに口腔ケアジェル(以下:ジェル)を用いた口腔ケアシステムの確立を行ってきた.ジェルは水に比べて流動性が低いため,水を使用した口腔ケアに比べ,ケア中の咽頭の吸引回数が有意に少ないことなどが報告されている3. そこでわれわれは,寝たきりで誤嚥リスクの高い患者に対しても水の代わりにジェルを用いることにより,超音波スケーラーによる歯石除去が行えるのではないかと考え,研究を行ってきた.本稿ではその概要を紹介すると同時に,COVID-19の院内感染対策の一助となる可能性についても解説する.156A Study of Scaling Ultrasonic Scaler without Water IrrigationHiroshi Iwabuchi,Shinobu Sawada,Megumi Moriya,Yasunori Sumiキーワード:超音波スケーラー,除石,非注水下the Quintessence. Vol.40 No.10/2021—2546(使い方:P7参照)スマホで動画が見られる!P157,161はじめに非注水下での超音波スケーラーによる歯石除去の検討(口腔ケア用ジェル使用の試み)

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