歯の位置・形態 われわれ人間の歯および周囲組織(歯周組織,顎関節など)に起こるトラブルの原因としては,う蝕,歯周病,力(咬合),医原性の4つが挙げられる1~4(図1).そのなかで,う蝕と歯周病に関してはエビデンスも多く存在する.われわれ臨床家も,そのエビデンスに基づきそれぞれのリスク分析を行い,適切に治療することで,一定の良好な治療結果と安定した術後経過を得ることができるようになった. 一方,力(咬合)に関してはエビデンスが少ない.また,教科書に載っていないために大学や専門学校で学ぶことができず,そして情報が少ないがゆえに避けて通ろうとされ,後回しにされ,軽視されてきたのではないかと考える.しかし,現在では多くのエビデンスが存在するう蝕や歯周病についても,昔はエビデンスがなかったのである.経験的に気づいたことを実験・調査・研究することにより,その結果が数値化され,有意差や法則が見いだされ,エビデンスとなり,そしてガイドラインができあがったのである. つまり,力の分野はまだまだ発展途上であり,今はエビデンスにまとめる過程の段階・時代だという大森有樹大阪府開業 大森歯科医院連絡先:〒541‐0053 大阪府大阪市中央区本町3丁目1‐2‐2FTooth Position & MorphologyYuki Omoriキーワード: 力のリスク診断,咬合,アンテリアガ52the Quintessence. Vol.40 No.11/2021—2704イダンス,バーティカルストップ特 集 2力のリスク診断によって変わる治療計画 第 弾5イントロダクション咬合状態の評価
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