ザ・クインテッセンス 2022年2月号
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 歯科治療における再生療法は硬組織の再生療法,いわゆるGBR(guided bone regeneration;骨再生誘導法)と歯周組織再生療法に大別できる. 再生療法を行う場合に考慮すべき事項として,「細胞,足場,成長因子」が挙げられ,さらに処置時間や手術に耐えうる口腔内環境の構築,適切な術式などを加味することで良好な結果を導くことができるといわれている.成長因子に焦点を当てると,従来ではエムドゲインが主流であったが,現在ではリグロスも選択肢の1つとなっている. また,再生療法にはPRP(platelet-rich plasma;多血小板血漿)を用いた方法がある.これについては,1998年にMarxら1による報告で,PRPを用いた場合と用いない場合を比較して,用いた場合には骨の成熟度がエックス線的に1.62~2.16倍になることが示された.さらに,同時期にAnitua2はPRGF(plasma rich in growth factor;多増殖因子血漿)を用いた治療方法の有効性を示している. Anituaらが提唱していたPRGFは,安定して血小板を取り出すことができるため,再生療法では有効活用できると考えられ,2008年に初めて日本で導入されたが,普及が進んでいなかった. 昨今では,徐々にPRGFに関する講演やコースが増えてきており,かつGBRにPRGFが活用されはじめ,良好な結果が得られていることから日本でも再注目されはじめている. 本稿では,PRP療法の1つである“PRGF”をテーマに,その概要,メリット・デメリット,GBRを行う際にPRGFを用いた症例などについて解説していく.Takuyoshi Higuchi, Takeshi Hagaキーワード: PRGF,GBR,PRP,血小板樋口琢善*1/芳賀 剛*2*1福岡県開業 ひぐちファミリー歯科連絡先:〒820‐0066 福岡県飯塚市幸袋140‐1*2福岡県開業 学研都市歯科・矯正歯科連絡先:〒808‐0131 福岡県北九州市若松区塩屋3‐3‐5Regenerative Therapy with PRGF:Part 1. Safe and Secure GBR for Implants Using PRGF54the Quintessence. Vol.41 No.2/2022—0312特 集 2PRGFを用いたインプラント治療のための安心,安全なGBRはじめに多増殖因子血漿(PRGF)を活用した治療方法前編再生療法の新しい一手

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