自己血採取・遠心分離PRGFのコンセプトおよび他のPRP療法との比較the Quintessence. Vol.41 No.2/2022—031355PRF/CGF/GRF等自己血を遠心分離して一部使用,成長因子の概念なし図1 PRGFの特徴は,「抗凝固剤にクエン酸ナトリウムを使用しており,血小板の形態や凝集能を阻害しない」「濃縮された血小板は非活性の状態であるため,使用時に増殖因子の活性力が失われていない」「赤血球と白血球を含んでいない」「血漿を3つ(メンブレン,クロット,リキッド)に分離し,用途によって使い分けることが可能」「1回あたりのコストが低く,ランニングコストが安価である」「自己由来であるため,副作用を認めない」などが挙げられる(図はBTIジャパンのホームページより引用・改変).抗凝固剤入り(クエン酸ナトリウム)真空採血管使用抗凝固剤なし血液採取した瞬間から凝固が始まる=成長因子は放出を始めるできるだけ低回転・短時間で,かつ赤血球・白血球・血小板をきれいに分離する独自のマトリクスを開発遠心分離2回高濃度を目的とした高回転・長時間特別にプログラムされた専用遠心分離器で短時間・低回転遠心分離の過程で成長因子が多く放出される可能性大,手順が未統一遠心分離成長因子はさらに放出だれが行っても同じ結果.未放出の成長因子を多く含んだ血漿.PRGFとフィブリンを一度の遠心分離で取り出す遠心分離後,成長因子が放出し終わった血小板を含んだ塊をフィブリンとして使用結果が不安定本稿で解説!PRGF(コンセプト)濃縮された血小板を無傷のまま取り出す(成長因子が放出されない状態で)PRP(コンセプト)できるだけ濃縮し,血小板数の多さが重要1)PRP療法の概要 血小板は凝集(凝固)する際に成長因子を放出すると報告されており,PRP療法の基本的な目標は濃縮した血小板血漿を用いて治癒を促進させることにある.そのため,本治療においては“血小板”がキーワードとなる. 医科,歯科において,PRPを作製するシステムにはさまざまな種類があり,どのシステムを選択するかは悩ましい.なお,混同されがちであるが,PRP療法にはいくつか種類があり,「PRP」「PRGF」「PRF」「CGF」など,作製方法によって複数の呼び名が存在する.2)PRGFの特徴(図1) PRGFの特徴は,血小板の濃縮度を高めることを主眼とするのではなく,無傷,無活性の血小板を取り出すことを目的としている. 血小板を無活性の状態で分離することにより,血小板中の増殖因子が放出されるタイミングをコントロールすることができる画期的なシステムとなっている. 採血後,抗凝固剤にクエン酸ナトリウムを使用し,かつ遠心分離器を用いることにより,血小板の形態や凝集力をほとんど阻害することなく取り出すことができる.凝集された血小板は,はじめは非活性の状態であるため,増殖因子は活性力を失わずに存在し,使用する直前に活性剤(塩化カルシウム)を用いて増殖因子を活性させることができるようになっている.それにより,術者のタイミングで増殖因子を1.PRP療法の考え方とPRGFの特徴
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