ザ・クインテッセンス 2022年2月号
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 近年,う蝕の減少と健康観の高まりからと思われるが,歯列不正を気にする保護者が増えた.その結果からであろうか,矯正治療を行う歯科医院も増えた1ようだ. 叢生の多くは,歯列弓と歯の大きさの不調和によって生ずる.そのため,叢生の改善には歯列弓を大きくするか,歯冠幅径の総和を小さくすることが必要となる.歯冠幅径を小さくするためのディスキングあるいは抜歯といった手段は,永久歯列完成後の第Ⅱ期治療において選択される方法であるので,小児期の第Ⅰ期治療では歯列弓を拡大する治療,いわゆる歯列拡大治療が一般的に多く行われている. しかし,過度な歯列拡大による,開咬や鋏状咬合といった,上下の歯列が噛み合わなくなるトラブルも増えているようである.そこで,本稿では拡大装置のさまざまな種類と臨床でよく起きるトラブルについて解説する.町田直樹富山県勤務 となみ野歯科診療所連絡先:〒939‐1345 富山県砺波市林837Naoki Machidaキーワード: 歯列拡大装置,叢生,小児期What Family Dentists Need to Know About Expansion Appliances, and Its Troubleshooting:For Driving the Growth of the Children's Dental Health76the Quintessence. Vol.41 No.2/2022—0334特 集 3小児期の矯正治療の現状―子どもたちの成長を後押しするために―知っておきたい!歯列拡大装置の種類とトラブル対処法

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