Yuji Satoキーワード: 義歯ケア,清掃,保管,装着,義歯安定剤佐藤裕二昭和大学歯学部高齢者歯科学講座連絡先:〒145‐8515 東京都大田区北千束2‐1‐1Denture Care in Collaboration with Patients:For Long, Safe and Comfortable Use52the Quintessence. Vol.41 No.3/2022—0564 義歯は装着して終わりではない.適切な指導によるケア(管理)が重要である.以前は,「義歯は夜外し,ブラシで洗って洗浄剤を使う.義歯安定剤は使ってはいけない」というお決まりの指導が行われていた.しかし,本当にそれで良いのであろうか? 患者のニーズはさまざまであり,口腔内の状況もさまざまである. 夜間の義歯装着に関しても,歯科医師国家試験にも2016年から「夜間装着を検討したほうが良い場合」を問う問題が出はじめた1.また,「夜間に義歯を装着せずに残存歯が顎堤粘膜を傷つけた症例」も出題された1.義歯安定剤に関しても,日本補綴歯科学会が2008年に出した診療ガイドライン2で,「歯科医師の管理のもとで短期間であれば種類により容認できる」とされた.したがって,前述のような“お決まりの指導”で終わるのではなく,患者個々の状況を適切に判断し,きちんとした管理下で適切な義歯ケアが行われることが重要である. そこで,本稿では,患者に義歯を長く,安全・快適に使ってもらうために,歯科医療従事者側と患者が義歯ケアの意義を十分に理解して,共同して適切な義歯ケアを行うためのポイントについて解説する.特 集 2患者と共同で行う義歯のケアはじめに長く,安全・快適に使ってもらうために
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