ザ・クインテッセンス 2022年3月号
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102山口文誉神奈川県開業 山口歯科医院連絡先:〒231‐0005 神奈川県横浜市中区本町3‐24‐2‐1FMinimally Invasive Periodontal Regenerative Therapy of Teeth Severely Compromised by Combined Intrabony Defect and Gingival RecessionFumiyo Yamaguchiキーワード: 低侵襲治療,歯周組織再生療法,根面被覆術,垂直性骨欠損,歯肉退縮,Cairoの分類,エムドゲイン,フラップデザイン,マイクロサージェリーMovie(使い方:P3参照)スマホで動画が見られる!P104,110the Quintessence. Vol.41 No.3/2022—0614 “低侵襲治療”は,外科的侵襲を抑えるだけでなく,組織の創傷治癒を強く促す.現代の医療における大きな流れであり,患者・術者双方にとっての強い願いでもある.医科では大学を挙げて患者のために“低侵襲治療”の流れを大きく推し進めており,“低侵襲治療”で検索をかけると,さまざまな医科大学病院の低侵襲治療専門のホームページが観覧できる.一方,歯科においても,歯内療法,歯周治療,修復治療,補綴治療,インプラント治療などさまざまな分野での“低侵襲治療”が進化してきている. なかでも歯周治療において,歯周組織再生療法に“低侵襲治療”を応用することで臨床成績が劇的に向上した.2001年,Cortelliniが世界で初めて発表した「ペリオドンタルマイクロサージェリーによる歯周組織再生療法」の報告1から,この20年間で歯周組織再生療法は大きく飛躍している.しかし,歯周組織再生療法は術者の技量に大きく左右されるテクニックセンシティブな治療であり,マイクロサージェリーではさらに難易度が増す.そのハードルを少しでも下げたいという願いから,筆者は昨秋書籍を刊行した. 筆者が書籍執筆にあたり一番こだわったことは,「できるだけわかりやすく,“低侵襲歯周組織再生療法”をお伝えする」ことであった.マイクロスコープの動画による圧倒的な情報量に加え,イラストと連続写真をふんだんに盛り込み,論文だけでは伝わりにくかったテクニックの詳細と,臨床的な勘所をお伝えできるよう努めた. 書籍では,主に垂直性骨欠損にフォーカスを当て,多くのエビデンスをもとに低侵襲歯周組織再生療法を行うための要点を解説しているが,垂直性骨欠損は時にさまざまな問題を併発している(図1).そこで本稿では,垂直性骨欠損と歯肉退縮の合併症例に対する低侵襲歯周組織再生療法に関し,書籍に未掲載の症例とともに解説する.イラスト・写真・動画で学ぶ!特 集 4はじめに垂直性骨欠損と歯肉退縮の合併症例に対する低侵襲 歯周組織再生療法

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