a図1a〜c 歯周組織再生療法のファーストターゲットとなる垂直性骨欠損は,時にさまざまな問題を合併しており,その場合,治療難易度はワンランクアップする.a:垂直性骨欠損と歯肉退縮の合併症,b:垂直性骨欠損と根分岐部病変の合併症,c:垂直性骨欠損と根尖性歯周炎の合併症(エンド・ペリオ病変).垂直性骨欠損とさまざまな合併症 約20年ぶりに歯周疾患の分類が変更されたが,同時に,歯肉退縮の分類も約35年間使用されてきたMillerの分類(1985)からCairoの分類(2011)が採用されることになった.Cairoの分類(図2)では,歯肉退縮を見た目だけの判断ではなく,歯周プローブを使用し,頬側と隣接面のクリニカルアタッチメントレベルにより3つのRecession Type(以下,RT)に分けたことで,最終的な根面被覆の結果をより確実に予測できる.RTⅡとRTⅢは隣接面のclinical Cairoの分類(2011)による根面被覆の結果予測◆隣接面のクリニカルアタッチメントレベルによる歯肉退縮の分類と根面被覆の結果予測2◆前歯単独歯の歯肉退縮における根面被覆の予測3図2 Cairoの分類のRT別の完全根面被覆率(CRC:Complete Root Coverage).RTⅠのCRCは86.7%,RTⅡは74.2%と良好であったが,隣接面のCALの量が頬側のCALの量を上回るRTⅢでは0%であった.根面被覆術を行う前に隣接面のアタッチメントレベルを診査しておくことは,とても重要である.the Quintessence. Vol.41 No.3/2022—0615103attachment loss(以下,CAL)があり,隣接面部の骨欠損の合併症も疑われるため,根面被覆術と歯周組織再生療法の両方のアプローチが必要となる場合がある.以下,Case1(図3〜18)で解説する.Casebc1垂直性骨欠損と歯肉退縮RTⅡの合併症例への歯周組織再生療法
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