*おだデンタルクリニック,*1浅田歯科医院,*2むね歯科クリニック,*3長嶋デンタルオフィス,*4岡山大学大学院医歯薬学総合研究科インプラント再生補綴学分野*代表連絡先:〒599‐8125 大阪府堺市東区西野472‐2‐1FAdjunctive Treatment to Root Coverage Procedure:Effectiveness of Connective Tissue Graft and/or Enamel Matrix Derivativeにおける術補助的処置を考察する被覆34the Quintessence. Vol.41 No.7/2022—1514 根面被覆術にはさまざまな術式が報告されているが,そのほとんどの術式に取り入れられている基本的な概念は,歯肉退縮している歯の根尖部に位置する歯肉を歯冠側に移動させ,露出根面を被覆する歯肉弁歯冠側移動術(CAF:coronally advanced flap)1,2の考え方である(図1). 近年,このCAFから派生し改良された多くの術式が報告されており,いずれの術式を用いても適切な検査,診断の下,適切な手技を用いれば,根面被覆術は高い成功率を得ることが可能であるとされている(図2,3)1,2. また,その予後に関しても数多くの報告がなされており,20年という長期経過観察の結果から,歯肉退縮の再発を引き起こす因子(根面被覆術の長期予後に関するネガティブ因子)がいくつか報告されている3.そのため,根面被覆術において適切な術式選択を行うためには,術前にこれらのネガティブ因子についても精査し,補助的処置の採用を検討しなければならない場合がある(本稿での補助的処置とは,CAFへの上皮下結合組織移植術〔CTG:connective tissue graft〕やエムドゲイン〔EMD:enamel matrix derivative,ストローマンジャパン〕の併用を指す).1)「CAF+CTG」vs「CAF+CTG+EMD」 CAFに補助的処置であるCTGを併用した根面被覆術(CAF+CTG)では,その有効性を示す報告が多くなされており,現在のところ根面被覆術におけるゴールドスタンダードと考えられている4.一方で,もう1つの補助的処置であるEMDをこの「CAF小田師巳*,*4/園山 亘*1,*4/笹生宗賢*2/長嶋秀和*3Norimi Oda, Wataru Sonoyama, Munekata Sasoh, Hidekazu Nagashimaキーワード: 根面被覆術,歯肉弁歯冠側移動術(CAF),上皮下結合組織移植(CTG),エムドゲイン(EMD)はじめに特 集 1根面上皮下結合組織移植とエムドゲイン併用の効果
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