筒井 佑*1/水野秀治*1,*2/松井徳雄*2/佐々木 猛*1,*2*1医療法人貴和会 新大阪歯科診療所連絡先:〒532‐0003 大阪府大阪市淀川区宮原3‐4‐30‐9F*2医療法人貴和会 銀座歯科診療所連絡先:〒104‐0061 東京都中央区銀座6‐9‐8‐7FBasic Principles of Accurate Prosthesis:Part 5Tasuku Tsutsui, Shuji Mizuno, Tokuo Matsui, Takeshi Sasaki 補綴装置の長期的維持と安定のためには,清掃性が重要であり,その基本は適合である. 適合には,物理的,生物学的,機能的,審美的適合があり,生体と調和した補綴修復を行うためには,これらすべてにおいて良好な状態を獲得することが求められる. 各適合の内容には,次のようなものがある.《さまざまな適合》 前回までの連載において,物理的,生物学的,審美的適合に影響を与える,支台歯形成とプロビジョナルレストレーション(以下,PVR)の製作および印物理的適合:マージンフィットやクラウンカントゥアなど生物学的適合:歯髄に対する侵襲,歯周組織との調和など審美的適合:形態,サイズ,色調など機能的適合:咬合,咀嚼,発音など象採得について,そのコンセプトとテクニックを紹介した.最終回となる今回は,機能的適合に大きく関与する咬合採得について解説し,本連載のテーマである補綴治療の基本原則のまとめとしたい. 咬合採得とは,患者が有する上下の歯の咬合接触関係および上下顎の垂直的,水平的位置関係を記録し,その位置関係を咬合器上へ正確に再現する作業である. 顎関節,神経-筋機構による支配を受ける下顎位は,ファジーで不安定な位置であるため,咬合採得を行う際には,あらかじめ顆頭安定位における安定した咬頭嵌合位が確立されていることが必要である1〜5(図1,2). 顎関節,筋機能に問題がなければ,患者が現在有している下顎位を可能な限り保持するよう努める(図3).一方,咬合位が不安定な場合や顎関節,180キーワード: 咬合採得the Quintessence. Vol.41 No.8/2022—1910第1回 総論第2回 適切な支台歯形成第3回 口腔内に調和した第4回 精密な印象採得第5回 正確な咬合採得プロビジョナルレストレーションの製作連載お悩み解決QA&これだけはおさえておきたい!補綴治療の基本原則第5回(最終回) 正確な咬合採得はじめに1.安定した咬頭嵌合位の確立とは?
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