ザ・クインテッセンス 2022年8月号
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The Things You need to know about the Key point of Endodontic Treatment in Deciduous Tooth58Yasutaka Yawakaキーワード: 乳歯,感染根管治療,根管洗浄,水酸化カルシウム製剤, ラバーダム防湿八若保孝北海道大学大学院歯学研究院口腔機能学分野小児・障害者歯科学教室連絡先:〒060‐8586 北海道札幌市北区北13条西7丁目the Quintessence. Vol.41 No.8/2022—1788 厚生労働省「歯科疾患実態調査」1によれば,乳歯のう蝕は減少ならびに軽症化の傾向が認められており,今後はさらにこの傾向が進むものと考えられます.しかし,一方で乳歯列期に重度う蝕となり,感染根管治療や抜歯が必要となる小児が,一定の割合で存在しています.つまり,乳歯列期の小児は,う蝕に関しては二極化しているといえるでしょう.また,当科外来に来院する小児をみますと,乳歯列が完成する前に重度う蝕になってしまった2歳代の小児が増加してきています.このような小児の乳歯に対して適切な処置(治療)を実施し,乳歯列をできるだけ良好な状態で維持し,後継永久歯への円滑な交換を促し,最終的に健全な永久歯列へとつなげていくことは,とても重要なことです. しかし,永久歯とは異なる特徴を乳歯は有しており,さらに小児の歯科診療への協力度の影響も加わり,「乳歯の根管治療は難しい」といわれることは少なくありません.また,治療方針の決定や術後管理などにおいても,永久歯とは異なる考慮すべき事項が存在します. 以上のことを念頭に置いて,本稿では乳歯の感染根管治療に焦点を当てて,解説していきます.はじめに特 集 2知っておきたい!乳歯の感染根管治療の勘所

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