ザ・クインテッセンス 2022年8月号
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Suggestion of Questions about Occlusion Again98Kentaroh Nakamuraキーワード: 補綴歯科治療,咬合の岳,患者本位の咬合中村健太郎愛知県開業 Shurenkai Dental Prosthodontics Institute連絡先:〒461‐0025 愛知県名古屋市東区徳川1‐407‐2the Quintessence. Vol.41 No.8/2022—1828 補綴臨床における長い歴史のなかで,咬合を重要視してきた先人たちはさまざまな咬合論を提唱してきた.それらの咬合論の多くは,単に上下顎歯列の接触状態だけを捉えるのではなく,顎口腔系を機能的な一つの単位として捉え,その調和を図ることを目的に,任意の咬合関係を与えることを主意としてきた.それゆえに,咬合論とともに咬合器の開発が盛んであった. 現在の補綴臨床においても,さまざまな咬合論を多くの一般臨床家が実践し,良好な結果が得られていると謳われている.その反面,その咬合論に基づいた咬合を付与することで,疾病の再発や新たな障害の発現などの予後不良な結果を往々にして招いていることも否めない.実際に,筆者もそのような症例を数多く見てきた. そこで,術者が理想的な咬合とする「術者本位の咬合」を当てはめるのではなく,その患者の生体に応じた適宜・適応する咬合を見出すことを意図として,もう一度咬合を見直すことを提案したい. そのうえで,咬合についての造詣を深めていくことで「患者本位の咬合」が得られると確信している.はじめに特 集 4再び,問題提起する!~患者本位の咬合を求めて~咬合を

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