ザ・クインテッセンス 2022年8月号
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岩野義弘東京都開業 岩野歯科クリニック連絡先:〒157‐0066 東京都世田谷区成城6‐9‐4‐2F 昭和生まれの筆者にとって,タバコは身近な存在でした.約30年くらい前までは,飛行機や新幹線でタバコは吸えましたし,テレビや映画でも喫煙するシーンが多くありました.喫煙率は,1966年の男性喫煙率83.7%をピークに徐々に下がってきていましたが1,それでも1989年~1998年頃までの男性喫煙率は50%を超えており,女性の喫煙者は増加していました.かくいう筆者も,その当時は実はタバコを吸っていました(歯科医師となり,患者さんに歯周病の専門家として禁煙指導する立場となってようやく禁煙しました……). 飛行機が全面禁煙となった平成10年頃から,日本においても禁煙に対144医療面接(初診)the Quintessence. Vol.41 No.8/2022—1874☜今回歯周治療の標準的な進め方図1 本連載は日本歯周病学会の推奨する“歯周治療の標準的な進め方”に基づいて論を進めていく.今回は医療面接をテーマとする.連載切らないペリオ編(その1) 第2回はじめに 周知のとおり,喫煙はさまざまな全身疾患の重大なリスク因子であり,歯周病においては最大のリスク因子です.歯周病と一部の全身疾患が相関関係にある(本連載7月号参照)と考えても,喫煙はまさに「百害あって一利なし」です. そのため,われわれ歯科医師が行う医療面接においては,患者さんの喫煙について詳しく聞き出す必要があり,喫煙をしていれば禁煙を促す必要があります.ただ,喫煙者からすれば,その人なりに喫煙が止められない理由があり,それゆえにわれわれ医療従事者は悩ましいわけです. 本稿では,喫煙の歯周病に対する影響,ならびに歯周治療を成功させるための禁煙支援について解説していくとともに,長年の喫煙の影響もあり歯周組織の重度破壊を認めた患者の歯周治療例を供覧したいと思います.歯周治療を成功に導くエビデンスと臨床手技1. 喫煙者がまだまだ多い? 喫煙  医療面接 その2:歯周病最大のリスク“喫煙”を取り巻く日本の現状切らないペリオ,切るペリオ

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