A&MovieP60(使い方:P7参照)スマホで動画が見られる!谷田部 優 ナイロン樹脂やポリアミド樹脂を使用した,いわゆるフレキシブルデンチャーは,審美性がよく,装着時の違和感が少ないこと,また金属アレルギーが起こらないことをアピールすることで患者に受け入れられ,日本では2000年の初めころから急速に臨床で普及してきた.しかし,安易な臨床導入により,その後に歯や歯周組織の保全が損なわれるなど,さまざまな問題が浮き彫りとなった. 2013年に,日本補綴歯科学会は,これらの義歯をノンメタルクラスプデンチャー(以下,NMCD)と呼称し,NMCDの材料の種類や理工学的性質,適応と禁忌,利点と欠点,メインテナンスについて,ポジションペーパーをまとめた1.2015年には,臨床におけるNMCDの具体的な利用法について,クインテッセンス出版から拙書『ノンメタルクラスプデンチャー─長く使える設計の原則からメインテナンスまで─』が発刊された2. 最近は,樹脂の発売も一段落し,臨床経過や関連論文も増え,臨床でのNMCDの使い方もほぼ決まってきた.そこで本稿では,NMCDの現状を,読者からの疑問に答えるQ&A方式で,下記の2部構成にてまとめてみたい. まず,NMCDの経験がない,またはこれから取り組んでみようと思っている読者に「臨床応用前の疑問編」と題して,基本的知識の提供を行う. その後,すでに臨床で実践している読者には「臨床応用後の疑問編」と題して,筆者自身の経験を踏まえた,実際に起こりうるNMCDの問題点から材料の選び方,適応症例,設計の考え方,メインテナンスまで,現状の見解を解説していく.東京都開業 千駄木あおば歯科連絡先:〒113‐0022 東京都文京区千駄木1‐23‐1Masaru Yatabeキーワード: 補綴治療,ノンメタルクラスプデンチャー,義歯Nonmetal Clasp Denture FAQs56the Quintessence. Vol.41 No.9/2022—2052はじめに特 集 2初心者と経験者の疑問に,エキスパートが答える今,知りたい!ノンメタルクラスプデンチャーQ
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