28 the Quintessence. Vol.41 No.10/2022—2270 「hopeless」とは「希望がない」という意味であり,「hopeless teeth」はう蝕や歯周病などのさまざまな理由により抜歯が推奨される歯のことをいう. 日常臨床のなかでは,「歯を保存できるのか」「それとも抜歯するべきか」について悩む機会が多いかと思われる.重度の歯周炎罹患歯においては,「根尖まで達する骨縁下欠損」「3度の根分岐部病変」「過度な歯の動揺」などの要因があると,hopeless teethと診断される傾向にある. しかし,初診時にhopelessと診断された歯であっても,適切な治療を行うことでその状態が改善され,結果として長期的に保存できる場合もある.とくに,歯周組織再生療法は歯周炎の進行によって失われてしまった組織を再生することで,従来ならば抜歯適応となるhopeless teethの運命を変える可能性がある. 本稿では,歯周病におけるhopeless teethについてのエビデンスを紐解きながら,hopeless teethに対する歯周組織再生療法の適応について症例を交えつつ解説していきたい.Shu Hoshiキーワード: Hopeless teeth,歯周組織再生療法, 骨縁下欠損,根分岐部病変星 嵩新潟県開業 星歯科医院連絡先:〒946‐0007 新潟県魚沼市四日町147Save the Hopeless Teeth:Periodontal Regeneration Therapy for Deep Intrabony Defect Extending to the Root Apex and Class III Furcation Involvementはじめに特 集 1Savethe HopelessTeeth根尖部まで達する骨縁下欠損と3度の根分岐部病変に対する歯周組織再生療法
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