ザ・クインテッセンス 2022年10月号
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と像治療法the Quintessence. Vol.41 No.10/2022—2292 初めに図1をご覧いただきたい.40代,女性のパノラマエックス線写真と下顎前歯の口腔内エックス線写真である.下顎右側中切歯の歯根内部に特徴的なエックス線透過像が確認できるが,これは内部吸収であろうか.または歯根の外部吸収,それとも近遠心の歯頸部にも透過像がみられるため,歯頸部から発生したう蝕が根管内まで進行し,このようなエックス線所見を呈しているのだろうか.この患歯の診断名はなんであろう.また現状をどう患者に説明し,どのような治療計画が立てられるであろうか. 日常臨床のなかでこのような症例に遭遇した経験があり,診断名と治療の可能性や治療法がすぐ浮かんだ先生方もおられると思う.しかし,もしすぐに診断名と治療方針が思い浮かばなかった先生方は,ぜひ本稿を参考にしていただきたいと思う. 結論からいうと,この症例は歯頸部領域から始まる外部吸収である「Invasive Cervical Resorption(ICR)」である.ICRは,内部吸収とは吸収を引き起こす原因が異なるため,治療計画も変わってくる.歯の硬組織を失う原因としてまずはう蝕が考えられるが,歯根の外部吸収や内部吸収も歯質を失う原因となる. 本稿では,歯の外部吸収のうち,このICRの発生原因や病態・治療法などに関して,臨床的な側面から理解を深めていきたいと思う.石崎秀隆長崎大学大学院医歯薬学総合研究科歯周歯内治療学分野連絡先:〒852‐8588 長崎県長崎市坂本1‐7‐1Hidetaka Ishizakiキーワード: 歯根外部吸収,Invasive Cervical Resorpti, External Cervical ResorptionThe More we Know About the Clinical Appearance and Treatment Plan of the Invasive Cervical Resorption50特 集 2はじめに早期発見が鍵!おさえておきたいInvasive Cervical Resorptionの床臨

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