図1 近年,さまざまなデジタル技術がCAD上につながり始めている.右上の画像は,IOSで得られた当医院の実際の患者データでデザインした,インプラント補綴のデジタルワックスアップ画像.図2 3Dプリンターによる造形では模型表面に必然的に積層痕が生じてしまうため,シングルセントラルなど残存天然歯の形態や表面性状のシビアな模写が必要な前歯部のケースでは,注意が必要となる.場合には,従来の石膏模型の代わりに3D画像データから作業用模型を製作し,その模型上で作業を行う必要がある.その際,3D模型では,従来の印象法での石膏の膨張とは逆に,レジンの収縮を考慮しておく必要がある.また,3D模型に使用するレジンなどの物性が低い場合には,補綴装置の精度にも影響を及ぼすことがあることを注意しなくてはならない. 以下に,IOSの利点と現時点での問題点を示す.[IOSの利点]①印象採得にかかる時間の短縮が可能になる.②印象採得ステップが簡便になる.③印象不良も即座にわかるうえ,撮り直しが容易.④咬合採得がより正確になり,バイト調整が最小限.⑤印象材や郵送コストの軽減.⑥スキャン画像を即座に確認できるのでコンサルテーションにも利用できる.⑦嘔吐反射のある方でも抵抗が少ない.⑧動揺の強い歯に対応できる.⑨経験の浅い術者でも印象が可能.⑩デジタルデータのため保管場所が必要なくなり,管理がしやすい.②複数歯への対応には注意が必要(スキャン精度の問③仮想咬合器での顎運動の再現にはまだ高いハードルがある.④3Dプリンター模型の寸法精度や,表面性状の再現性(図2),そして耐久性は従来の石膏模型のほうが優れている. IOSによるスキャニングで,読み込みエラーが発生することがあることも注意が必要である.IOSは,スキャン時に約1,200枚もの画像を取り込む.スキャンエラーは,スキャンと処理中にそれらの画像の重ね合わせ(スティッチング)から生じる可能性があると報告されている1,2.これは,歯列のカーブの強い犬歯部や急傾斜で歯面が少ない前歯でより顕著に見られる傾向がある. IOSの精度に影響を与える他の要因として,口腔内の要因(唾液,温度,相対湿度,照度),術者サイドの要因(スキャンパターン,スキル),スキャナユニット(キャプチャボックス,受信機,光源),コンピューはスキャンできない).題).the Quintessence. Vol.41 No.11/2022—250141[IOSの現時点での問題点]①歯肉縁下マージンへの対応が困難(見えないエリアIOSの利点と現時点での問題点IOSの精度に影響を与える要因
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