ザ・クインテッセンス 2022年11月号
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図1 歯根間距離の目安.解剖学的には3mm以上の歯根間距離を有する部位は非常に限定的であり,根尖側では可動粘膜領域となる.本図はあくまで目安で,患者によって歯根間距離はさまざまである(参考文献3より引用・改変).離あっても根尖側の可動粘膜領域となる3(図1).可動粘膜領域への埋入は,スクリュー粘膜炎および周囲炎のリスクとなるため,可及的に避けたい4. ここで,3mmの歯根間距離の部位に対して,仮に1.4mm径のスクリューを埋入する場合を考えてほしい.計算すると,近遠心に0.8mmずつしかスペースがないことがわかる.フリーハンドで埋入するなら,この距離は十分に安全とは言えず,事前に埋入部位を把握する何らかの方法が必要であると筆者は考える.そのため,歯根間距離が4mm以下の部位へスクリューを埋入する際は,次に紹介する埋入位置決定のための工夫をかならず行っている. なお,埋入部位およびスクリューサイズの選択については,「ザ・クインテッセンス」2015年9月号の特集1「Minimal Tooth Movement Part2 TADsを応用したMTM」5,そして2021年3月発売の『一般臨床医のためのMTM増補新版Minimal Tooth Move-ment』6の第8章に解説してあるので,ぜひ参照していただきたい.the Quintessence. Vol.41 No.11/2022—2545853mm<歯根間距離<4mm4mm<歯根間距離8mm6mm4mm2mmCEJ上顎CEJ2mm4mm6mm8mm下顎埋入に必要なスペースと失敗原因■上下顎唇頬側歯槽部の歯根間距 スクリューの安全な埋入のためには,前提として十分な埋入スペースが存在していることが重要である.十分な埋入スペースとは,スクリューを歯根に当てることなく埋入できる歯槽骨の領域を指す. Papageorgiouらの報告1によると,スクリューの成功率に影響を及ぼす因子は,“歯根への接触や近接”および“上下顎どちらに埋入するか”の2点である.前者では,接触や近接がない場合に92.2%の成功率だったのに対して,あった場合は70.1%であった(p<0.001,相対リスク:3.06倍).また,上顎は成功率が88.0%に対して,下顎は80.7%であった(p<0.012,相対リスク:1.56倍).この報告より,歯根に当てないように埋入することが,スクリューの成功といかに結びついているかがわかる. スクリューの埋入時に,歯根と接触する可能性が高い口腔内の部位は,頬側歯根間である.安全な埋入のためには,最低でも3mmの歯根間距離が必要であると報告されているが2,解剖学的には3mm以上の歯根間距離を有する部位は非常に限定的で,

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