ザ・クインテッセンス 2022年12月号
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●哺乳,離乳期からの 機能の発達不全●不規則な(食)生活習慣the Quintessence. Vol.41 No.12/2022—272753かめない,かまない(咀嚼機能の未発達)流し込みに近い食べ方バランスの悪い食事カロリーの取りすぎ内臓器官への負担歯肉炎むし歯不正咬合顎関節症・やわらかい食べ物・不適切な水分摂取・嗜好食品の摂取1歳6か月図1 乳幼児期における口腔機能の発達不全は,噛まない,噛めないなどの咀嚼機能の未発達につながる.将来,軟らかい食事や嗜好食品,不適切な水分摂取,バランスの悪い食事によって,生活習慣病を発症することが危惧される.⁃機能発達と生活習慣とのかかわりこれらには利便性も大いに関係 臨床の現場では,幼児期からすでに不正咬合を主訴に来院する患者は多いが,保護者の関心の高さとともに,不正咬合と関連する小児の口腔機能についての保護者の心配事は多く,また多種多様であることに気がつく. 0~2歳における「乳歯萌出前の離乳食についての困った事」の調査2では,困った事がある保護者は74%にも上り,「もぐもぐ,かみかみが少ない」や,「離乳食がなかなか進まない」など口腔機能の問題のほかに,「作るのが大変」「作り方やバランスがわからない」など調理にかかわる内容や,「相談する人がいない」「相談する場所がわからない」など,地域社会への参加にかかわるものがあり,多職種の領域にわたることが明らかである.機能の発達と生活習慣のかかわりについて考えてみると(図1),哺乳・離乳期からの口腔機能の発達不全は,育児のうえでの利便性とも関係し,「噛めない,噛まない,飲み込めない」などの咀嚼機能の未発達につながる.これらは歯肉炎,う蝕,不正咬合とも大いに関係するとともに,その後の生活習慣病ともかかわる. ここで今一度,口の機能が発達しないと将来どんなことが起こるのかについて考えてみたい.口の機能が発達しないと,歯列の上下顎のアーチフォームは崩れ,上下の歯は正常な機能を営むことが難しくなり,代償的な運動によって,歯や顎関節に負担をかける.これらによって,日常生活においては,食べる喜び,話す楽しみなどの生活の質が低下する.これを防ぐためには,とくに乳幼児期から学童期にかけて,良好な成長発育および,適切な口腔機能を獲得することが重要である.その際,口腔機能の獲得が遅れていると感じられた場合には,それを促すために歯科医療による介入が必要である. このように,口腔機能の発達を支援し,向上させることは,健康長寿の一助となり,また人生の質を向上させるため,歯科医師の仕事として重要である.生活習慣病1)なぜ,口腔機能と歯列・咬合の発達支援が必要なのか1.小児期の口腔管理の考え方

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