セメント質剝離の発生率と剝離部位1)セメント質剝離の定義本田(司会) 本日は「セメント質剝離を再考する」と題して,症例をとおしてその診断や対応法についてディスカッションしたいと思いますので,よろしくお願いいたします.水上,北島 よろしくお願いします.本田 では初めに,セメント質剝離についてよく知らない読者も多いと思いますので,その概要についてご説明をお願いします.水上 まず定義についてですが,セメント質剝離についてPederciniらは,「歯根表面から完全に,または部分的に剝離したセメント質の断片であり,根Keskinら2の文献……0.89%Ozkenら3の文献……1.9%尖,根中央部または歯頸部で発生する可能性があり,歯根の歯周組織および根尖周囲組織の急激な破壊に関連する」1としています. 次に発生率ですが,現在発表されている文献では,0.89%2あるいは1.9%3とのことですが,臨床実感としては,7~8%くらいはあるように感じています. 剝離する部位は,大きく2つに分けて,CDJ(セメント-象牙境)のところで剝離する場合と,セメント質内の成長線に沿って剝離する場合がありますが,約78%が前者で剝離するといわれています(図1).これらのことがセメント質剝離の主な概要だと認識しています.●セメント質剝離の発生率●セメント質の剝離部位CDJで剝離……77.7%セメント質内で剝離……22.4%文献では2%以下だが,実際の臨床ではもっと 多い印象!図1 セメント質剝離の発生率と剝離部位2,3.文献における発生率は,2%以下だが,臨床の現場ではもっと多い印象がある.また,セメント質が剝離する部位は,CDJが約78%ともっとも多い.the Quintessence. Vol.42 No.1/2023—0041411セメント質剝離とは? 再考する アプローチ
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