ザ・クインテッセンス 2023年2月号
6/9

◆8029達成者は犬歯誘導を維持している図1 2003年より18年メインテナンス中,現在8431.図2 2003年より18年メインテナンス中,現在8230.生涯メインテナンス 5位 8230the Quintessence. Vol.42 No.2/2023—034195 茂木らにより1999~2019年に発表された8020達成者の歯列・咬合の研究27~33が大変すばらしい.今まで,年代ごとに残存歯数を調べた研究はあった.しかし,8020達成者の咬合状態を調べ,不正咬合と8020達成者を関連付けた論文は,茂木らの論文が初めてであるといってよい.茂木らの論文を読み取ることにより,健康寿命を延伸する咬合とはどんな咬合か推定できるのである. それらの論文中に8020達成者の歯列・咬合の全歯および歯を写真で確認できる症例が21症例あった.それらを筆者が確認したところ,すべての症例で上下顎左右犬歯が残存しており,犬歯残存率は100%であった.また,全犬歯84本中,補綴されていた歯はわずか5本で,犬歯の天然歯率は94.0%で,上下顎左右側犬歯がすべて天然歯で残存・咬合している症例は17症例81.1%であった.このように8020達成者は上下顎天然犬歯の残存率が非常に高く,犬歯が8020達成のためのkey toothであることがわかる.生涯メインテナンス 4位 8431 茂木らの研究の8020達成者21症例の歯列は,前歯部では下顎切歯部に叢生が認められるものが8症例,上顎1症例で,その叢生の程度は軽度であった.臼歯部では第一小臼歯が頬側転位している症例が2症例のみ,19症例は犬歯から臼歯部まで咬合面観は頬側咬頭頂が一直線で,側方面観はスピーの湾曲が少なく直線的に整列していた. 茂木らの研究では顎運動についてはまったく述べていないが,上下顎天然犬歯が残存し,犬歯から臼歯部までが整列している咬合は犬歯誘導を維持していることが多い.第1回で述べたように,当院の8029達成者の3症例と今回提示した8029達成者の2症例は上下顎犬歯が天然歯で犬歯誘導を維持していた(図1,2).また,当院でも8020達成者は多いが,その咬合は上下顎犬歯が天然歯で犬歯誘導を維持していることが多い.18020達成者は上下顎天然犬歯の残存率が著しく高い!8020達成者に学ぶ:8020達成には犬歯が重要!8020達成者の歯列・咬合

元のページ  ../index.html#6

このブックを見る