3演者論202Movie文 骨質,骨欠損形態に好条件が揃い,かつ初期固定が得られた場合,抜歯即時でのインプラント埋入が可能である1.しかし,筆者は多くのケースにおいて段階法を選択している.なぜならば,筆者の経験上,即時埋入を行う場合,埋入後の垂直的な骨再生レベルの予測が不確実であることから,それを担保するために歯槽骨に対し深めに埋入する傾向になるからである. Kumarらは,5年以上経過する222本のインプラントの調査で,隣在歯のCEJより6mm以上深く埋入されているインプラントは,インプラント周囲炎と大きく関連している(オッズ比:8.5)ことを報告している2.また,骨レベルよりも深く埋入(subcr-estal)したインプラントは,骨レベル(crestal)のものよりも,より重度の骨吸収,より深いポケットデプスが観察され,埋入深度が組織破壊に影響を与えることが示唆されている3. 埋入深度とインプラント周囲炎との関連についてのエビデンスはまだ少ないが,骨造成をインプラント埋入に先立って行うことで,隣在歯との調和のとれた位置にインプラントを位置させることが長期的に安定した予後を獲得する要因になると筆者は考えている(図1). そこで本稿では,低侵襲で,再生能力を高め,かつ副作用の少ない骨造成法を紹介したい.the Quintessence. Vol.42 No.3/2023—0542(使い方:P19参照)スマホで動画が見られる!P62,68山下素史福岡県開業 山下歯科医院連絡先:〒810‐0001 福岡県福岡市中央区天神1‐13‐6‐8FMotofumi Yamashitaキーワード: 低侵襲骨造成,In situ Tissue Engineering,Nano-Drug Delivery System,フェンステクニック,オープンバリアメンブレンテクニックNew Approaches for Minimally Invasive Bone Augmentation:In situ Tissue Engineering and Nano-Drug Delivery System54特 集 1低侵襲骨造成の新 アプローチはじめに:骨造成の意義In situ Tissue Engineeringとnano-Drug Delivery Systemたな
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