ザ・クインテッセンス 2023年3月号
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文に233演者論202 読者諸氏におかれては,日々の臨床のなかで,同じような病態に対して同じように治療したにもかかわらず,その治療結果が異なった経験はこれまでないだろうか.筆者(坂田)はこれまでに何度も経験し,そのたびに文献を調べたり,過去の臨床を振り返ったが,それらの行為が必ずしも臨床へフィードバックできるわけではなかった. たとえば,昨今注目されている歯周組織再生療法(以下,再生療法)においては,再生するための3つの要素(細胞,足場,増殖因子)とそのための血餅保持,一次創傷治癒,保定が重要であるが,その知識をもっているだけでは結果を出すことはできない. そこで本特集では,再生療法を成功させるためのさまざまな「レシピ」(術式,材料,分量など)の選択方法について解説していく.ベーシック編の本稿では,再生療法を成功させるための歯周基本治療,フラップデザインの設計,切開・剝離・縫合について解説し,アドバンス編では,低侵襲な再生療法の可能性およびその適応と骨補填材について解説する予定である. まずは₂₃間の骨欠損に対して再生療法を行った症例を見ていただきたい.治療後のデンタルエックス線写真において,骨レベルの回復が認められる(図2). しかし,症例を振り返ってみると,歯周基本治療72the Quintessence. Vol.42 No.3/2023—0560Norihiko Sakata, Masahiko Kanenariキーワード: 歯周基本治療,フラップデザイン,切開,剝離,縫合坂田憲彦*1/金成雅彦*2*1福岡県開業 坂田歯科医院連絡先:〒814‐0104 福岡県福岡市城南区別府6‐5‐1*2山口県開業 クリスタル歯科連絡先:〒747‐0834 山口県防府市田島663‐10Recipes for Successful Regenerative Therapy:Initial Periodontal Therapy, Flap Design, Incision, Peeling, Suturingはじめに1.再生療法を成功に導く3つのレシピベーシック編:歯周基本治療,フラップデザインの設計,切開・剝離・縫合特 集 2再導くためのレシピ1生療法成功を

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