*東京都勤務 虎の門病院歯科,*1Bcデンタルオフィス代表連絡先:*〒105‐8470 東京都港区虎ノ門2‐2‐2 1748年のFerrein1~3以来,下顎の後方運動は外側靱帯,関節包靱帯が制限していると多くの学者が考えており,中心位はかつて,靭帯位(ligament posi-tion),強制位(forced position)と考えられていた. Turner4は,「後方への下顎運動は靱帯により規制されており,“occlusal position”は,下顎頭が関節窩でもっとも後方に位置する」と述べている.なお,咬合採得が極めて困難な場合,Garretsonのリトラクター(図1)5の使用を勧めている.この装置は,咬合採得時に患者の顎の前方への移動防止を目的として開発された装置である. Aprile,Saizarらは,屍体を対象にゴシックアーチ(Go-A)口外描記装置を応用し,顎関節部の軟組織,筋,外側靭帯,関節円板,下顎頭を順次切除した後に,そのGo-A描記を観察し,下顎運動に対するそれぞれの解剖学的構造の影響について報告している.その結果,筋や他の軟組織ではなく,関節包靭帯や他の靱帯が運動を支配していると報告している6.また,Posseltも屍体を用い,外側靭帯切断前と切断後の後方限界運動路を比較検討し,これを支持している7,8.つまり,下顎頭の位置は,古くか小林賢一*/平塚智裕*1Ken'ichi Kobayashi, Tomohiro Hiratsukaキーワード:中心位,靭帯位,筋肉位,誘導,ナソロジーConsiderations on 3 Questions of Centric Relation76the Quintessence. Vol.42 No.4/2023—0786―その歴史とエビデンスからひも解く―特 集 2中心位に関する の疑問を3つ考察するはじめに
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