ザ・クインテッセンス 2023年5月号
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8400 わが国の平均寿命は男女ともに過去最高を更新し続け,2050年には100歳以上の高齢者は約68万人にのぼると予測されており,現在(2022年)の約8万6千人から7倍以上となる3.まさに,「人生100年時代」という言葉が現実味を帯びてきた. そのなかで,「かみにくい」と訴える高齢者は,70歳以上で約50%,80歳以上で75%を超える4(図3).調査報告では,かみにくいことに対する具体的な原因までは報告されていないが,「歯の欠損」「義歯の不適合」が影響していると思われる.100.080.060.040.020.00.0(%)図3 「かみにくい」と感じている高齢者の割合.the Quintessence. Vol.42 No.5/2023—10155520161265~6970~74(%)図1 年齢別に見た高齢者の喪失歯数.80~8475~79(%)85~(歳)1)高齢者にとって「かみやすい」義歯とは? それでは,「かみやすい」義歯とはどのような義歯であろうか.一言でいえば,「痛くなく」「動かない」義歯である.新しく義歯を製作して調整を重ね,痛みも違和感もなく日常生活を送ることができるようになったら,義歯は自分の体の一部となり,手放すことができないものになるだろう.逆に,われわれ歯科医師にとって,使いこなした義歯を装着する患者に対して新たに義歯を製作し,患者を満足させることは,とても難しいことである.ましてや,義歯504030201065~69図2 高齢者における可撤性義歯装着者の割合.40~4950~5970~7475~79■全部床義歯 ■部分床義歯60~6970~79■男性 ■女性80~8485~80歳以上(歳)可撤性義歯を必要とする高齢者は,依然として多い多くの高齢者が「かみにくい」と感じている1.高齢者が求める義歯とは

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