ザ・クインテッセンス 2023年5月号
6/9

₃Ⓒ₂₁a₃₂bc はじめに,11歳8か月の男児の口腔内写真を示す(図1).患児は,乳歯列期よりかかりつけ歯科医院を受診し,浅在性う蝕の処置を行ってきており,この写真は上顎切歯隣接面のう蝕を主訴として受診した際のものである. 図1と同時に撮影されたデンタルエックス線写真を示す(図2a,b).口腔内に未萌出だった上顎両側永久犬歯が移転と近心傾斜し,右側は上顎中切歯と側切歯,左側は側切歯の歯根がともに著しく吸収していた.歯根吸収がもっとも進行していたのは左側の側切歯で,同歯遠心に残存していた乳犬歯と同じように,歯根はほとんど残っていなかった. かかりつけ歯科医院より紹介を受けた当科で撮影されたパノラマエックス線写真では,当初,上顎右側中切歯に歯根吸収を認めたものの,一定の歯根長はあると考えられた(図2c).しかしながら,CBCT画像より,右側犬歯の直下で,右側中切歯の歯根は口蓋側からクレーター状に著しく吸収が進行していた(図3).永久切歯のなかで唯一,歯根吸収を逃れていたのは左側中切歯であったが,同歯に対してはthe Quintessence. Vol.42 No.5/2023—1063103図1a図1b図1c図1d図1e図1a~e 11歳8か月の男児の口腔内写真.上顎切歯隣接面のう蝕を主訴に来院した.図2a~c 上記男児の上顎前歯部のデンタルエックス線写真(a,b)とパノラマエックス線写真(c).上顎両側犬歯の萌出異常と,右側中切歯,側切歯と左側側切歯に著しい歯根吸収がみられた.参考症例:う蝕を主訴に来院し,エックス線写真を撮影したら……1.上記のような口腔内の患者さんが来院したら…

元のページ  ../index.html#6

このブックを見る