図9d 辺縁のう蝕だけを取り除き,歯髄側のう蝕を残した状態でHY剤を塗布した状態.図12d 断髄はせず直接覆髄を行い,そのままダイレクトボンディングにより修復した状態.図17 根管内の細菌検査.ステップワイズエキスカベーションディスカッション:ステップワイズエキスカベーション? 直接覆髄?直接覆髄,部分断髄歯髄再生治療the Quintessence. Vol.42 No.6/2023—126781Topic1Topic3Topic2Topic4きな差がある.生活歯では象牙質・歯髄複合体といわれるように,象牙細管に細菌が侵入するといち早く感知して歯髄側での防御反応が起こる.しかし,失活してしまうとこの反応は起こらないので,細菌に対する抵抗性は著しく低下し,感染のリスクは著しく増加するといえる. 加えて,有髄歯に比べて無髄歯のほうが咬合力を感知するセンサーが反応するまでに2.5倍の咬合力がかかる.すなわち,咀嚼時の感覚の低下は,う蝕だけでなくクラックや破折のリスクを高くするといえる(図2).よって,歯髄を残すということは,歯を長期保存するうえで重要であると考えられる.1)歯髄保存の重要性 8020推進財団の2018年のデータによると,う蝕は以前よりも減少しているが,う蝕による抜歯は多く,破折も無髄歯と考えると約半数がいまだう蝕由来で歯を喪失しているといえる(図1)1. また,う蝕治療の繰り返しは結果的に抜歯に至り(リピーテッド・レストレーション・サイクル),これを止めるためにもできる限り歯髄を残すことが重要である. さらに,歯の延命において有髄歯と無髄歯では大VPTの概要本稿のTopic
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