筆者らは骨欠損や顎堤萎縮をともなうインプラント治療に対し,種々のマテリアルを活用し骨増生を行ってきた.GBR法の成功には,骨髄細胞供給と血液由来/骨基質由来成長因子の供給を誘導する骨穿孔などの移植床への外科処置に加えて,使用する材料の特性が重要である. そこで本稿では,GBR法を成功させるうえで重要なマテリアルの特性,とくに吸収性GBRメンブレンに求められる物性を論じ,基礎研究および臨床例を紹介したい.細胞の足場となる三次元的空間を積極的に構築し,骨再生までの期間に応じたバリア性と吸収性が求められる.臨床では水平的な唇側骨欠損が対象となることが多く,除去が不要の吸収性GBRメンブレンのニーズが高まりつつある. 2023年1月現在,国内で承認済みの吸収性GBRメンブレンは1品目のみ(サイトランスⓇ エラシールド,ジーシー)である.従来,吸収性メンブレンはGTR適応商品(Bio-GideⓇ,コーケンティッシュガイド,ジーシーメンブレンほか)のみのため,実態としてそれらがGBR法に代用されてきた経緯があると思われる. まずは,動物実験で2種のメンブレンの吸収期間の相違によるGBR法への影響を組織観察したので紹介する. ラット頭蓋骨から骨膜を切除し,ハイドロキシア草野 薫*/馬場俊輔*1/村田 勝*2*大阪歯科大学歯学部口腔インプラント学講座*1大阪歯科大学医療イノベーション研究推進機構,大阪歯科大学歯学部口腔インプラント学講座/*2北海道医療大学生体機能・病態学系口腔再生医学分野代表連絡先:〒540‐0008 大阪府大阪市中央区大手前1‐5‐17*Effective GBR Technique with Absorbable Membrane:Material Characteristics and Clinical Cases of Absorbable GBR MembraneKaoru Kusano, Shunsuke Baba, Masaru Murata132キーワード:吸収性メンブレン,GBR,骨再生,バイオマテリアルthe Quintessence. Vol.42 No.6/2023—13181)リタイヤラット頭蓋骨骨膜切除モデルにおける骨再生評価試験はじめに1.GBR適応メンブレンとGTR適応メンブレンの違い GBR法は水平的・垂直的骨増生が主目的で,GTR法は分岐部病変で失った根間中隔骨を歯根膜由来細胞によって骨の再生を目指すことが多い.ともに治療部位をメンブレンで覆い,軟組織の侵入を防ぐという役目は同じであるが,GBR法では骨系吸収性メンブレンを用いた効果的GBRテクニック吸収性GBRメンブレンの材料特性と臨床例
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