ザ・クインテッセンス 2023年7月号
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the Quintessence. Vol.42 No.7/2023—149765[症例の概要]患者:初診時,30代の男性.非喫煙者.主訴:₅の打診痛を主訴に来院.診断・治療計画:歯内療法を行ったあと,とくに近遠心の歯肉縁上歯質を獲得するため矯正的挺出を行う.その後,歯冠長延長術を行い,全周にわたる健全な歯肉縁上歯質ならびに隣在歯と調和のとれた生理的な歯周組織を獲得し,補綴処置に移行する.図1a,b a:初診時のデンタルエックス線写真.b:初診時の口腔内写真.近遠心の歯質が歯肉縁下まで失われていた.図1e,f e:挺出完了後の状態.1か月かけて挺出させ,保定期間は3か月とした.f:歯冠長延長を目的として,部分層弁による歯肉弁根尖側移動術を行った.骨外科処置後の状態.図1g,h g:縫合完了時の状態.歯肉弁断端を歯槽骨頂に位置づけ骨膜縫合を行っている.h:最終形成完了時の状態.間接法によるファイバー併用レジン支台築造の後,支台歯形成を行った.生物学的幅径を侵さぬよう,クラウンマージンは歯肉溝内に設定した.歯科矯正用アンカースクリューを導入する以前,自分なりに取り組んでいた部分的矯正治療図1a図1b図1c図1d図1c,d c:まずは歯内療法を行った.根管充填後のデンタルエックス線写真.d:挺出のための装置装着直後の状態.1mm程度挺出させ,その後,歯冠長延長術で2mm程度歯肉縁を根尖側に移動させることで,全周にわたる健全な歯肉縁上歯質ならびに隣在歯と調和のとれた生理的な歯周組織を獲得することを目標とした.図1e図1f図1g図1h症例1:歯肉縁上歯質を獲得するために矯正的挺出を行った症例

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