3演者論202文 われわれ人間の歯や周囲組織(歯周組織,顎関節など)に発生するトラブルの原因は,う蝕,歯周病,力(咬合),医原性の4つが挙げられる(図1)1~5.それ以外で歯や周囲組織のトラブルが発生するのは,交通事故や腫瘍の区域切除などのアクシデントくらいであり,ほとんどが前述の4つに包含される.そのなかで,う蝕,歯周病に関してはエビデンスが多く存在し,われわれ臨床家もそのエビデンスに基づきそれぞれのリスク分析をし適切に治療することで,一定の良好な治療結果と安定した術後経過を得ることができるようになった. しかし力に関しては,エビデンスが少ないがゆえに軽視されてきたと筆者は考える.しかし,う蝕も歯周病も,昔はエビデンスがなかったのである.つまり,力の分野はまだまだ発展途上であり,現在はエビデンスをつくる過程の段階,時代だと考える.したがって,われわれは力に関して,経験的に,感覚的に,強く認識していることを収集し,シェアし,実践し,検証して,それをしっかりと臨床に生かしていかなければならない.90the Quintessence. Vol.42 No.7/2023—1522大森有樹大阪府開業 大森歯科医院連絡先:〒541-0053 大阪府大阪市中央区本町3-1-2-2FYuki Omoriキーワード:力のリスク診断,咬合治療,咬合調整,咬合再構成,治療咬合Criteria for Determining the Need for and Type of Occlusal Intervention特 集 3イントロダクション力のリスク診断によって変わる治療計画第6弾咬合治療介入が必要か否か,どこまで介入するべきか
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