ザ・クインテッセンス 2023年7月号
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3演者論202*福岡県開業 まつき歯科医院連絡先:〒822‐0026 福岡県直方市津田町8‐24*1愛知県開業 名古屋RD歯科クリニック連絡先:〒450‐0002 愛知県名古屋市中村区名駅3‐25‐3‐11F文 歯髄再生治療では,根管内の無菌化が1つの大きな細胞移植の前提条件になる.当初,自己歯髄幹細胞による歯髄再生治療の適応は抜髄症例から開始されたが,現在では感染根管症例にも適応となっている. 歯髄再生治療を始める場合,まずは感染が少ないと思われる抜髄症例や,感染根管症例のなかでも初回根管治療(initial treatment)の歯など,比較的無菌化の見込みが立ちやすい症例を選択したほうがよいと思われる. そこで今回,初回根管治療の歯髄再生治療を行った4症例をご紹介する. 49歳,女性.₄の疼痛を主訴に来院.₄遠心にう蝕を認め(図1),自発痛および打診痛があり,不可逆性歯髄炎と診断された.(1)不用歯の抜歯 健全な歯髄を採取する不用歯は₈を用いた.抜歯後直ちに洗浄し,輸送液に浸漬して,特定細胞加工物製造事業者のアエラスバイオ社へ冷蔵で発送し,歯髄幹細胞の培養を委託した(図2).約1か月後に,試験結果報告書により,培養後の歯髄幹細胞の安全性試験および品質管理試験合格を確認した.(2)事前治療 歯髄再生治療を成功させるうえでもっとも重要なことは,根管内の無菌化を達成することである.そthe Quintessence. Vol.42 No.7/2023—1542松木良介*/田中宏幸*1Pulp Regenerative Cell Therapy Harnessing Autologous Dental Pulp Stem Cells(DPSCs)110Ryosuke Matsuki, Hiroyuki Tanakaキーワード: 歯髄再生治療,初回根管治療,歯髄幹細胞バンクはじめに症例1(松木症例)第2報:初回根管治療歯(抜髄根管・感染根管)へのアプローチ特別企画歯髄治療再生

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