ザ・クインテッセンス 2023年8月号
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で解決!小児の治療の悩みにお答えします&文3演者論202Q&A Pediatric Dentistry:Meet the General Practitioner’s Worries104島津貴咲東京都開業 杉並ペディアトリック歯科連絡先:〒168‐0081 東京都杉並区宮前4‐30‐11Kisaki Shimazuキーワード: 小児う蝕の特徴,小児のエックス線写真,小児の歯冠修復,歯列と咬合の成長発育 小児の歯科治療は,基本的にすんなり進みません.怖がる,嫌がるが当たり前で,おとなしく口を開けられないどころか,ユニットになかなか座れない子どももいます.そして,子どもの口腔内は成長にともなって大きく変化するため,発育段階やその時々の口腔内の状況に応じて適切な処置や対応が求められます. さらに,小児歯科においては,子どもだけでなく保護者とのコミュニケーションが求められます.近年,少子化の影響か,保護者の子どもへの期待が高まり,過保護もしくは溺愛する傾向があるように感じます.育児環境の違い,保護者の考えかたや患児の性格も考慮し,小児や保護者への対応を考え,治療をトラブルなくスムーズに進めることが大切です. 筆者は大学で小児歯科学の研究や学生教育を長年経験したのちに,小児歯科専門クリニックで8年ほど院長を務めています.本稿では,いわゆる教科書どおりではなく,エビデンスはないけれど臨床での経験から述べているものもあります.筆者は,日々の診療において,目の前の子どもにとって何がベストか,保護者に安心を与えるにはどうしたらいいかをつねに考え,小児歯科専門医として健全な歯,歯列・咬合を育てるサポートができれば,という思いで取り組んでいます. 小児歯科診療の経験が少ない先生方,小児の歯科治療や口腔管理を苦手に感じる先生方にとって,本稿が臨床の現場において少しでもお役に立てれば幸いです.the Quintessence. Vol.42 No.8/2023—1770はじめに特 集 3

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