ザ・クインテッセンス 2023年8月号
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3演者論202文 「歯周炎患者に成人矯正を行う際に,歯周病治療について悩む矯正専門医が多くいる.そして,歯周炎患者に成人矯正をしたいが,矯正歯科治療について悩む歯周病専門医も多くいる」 POP(歯周矯正研究会)の共同代表である筆者ら3名が隔月で連載している「Perio Ortho Synergy~包括的歯周治療のススメ~」.今回は歯周-矯正治療が難しいと考えられている理由や,必要な診査・診断の知識について整理したいと思う. 2022年,EFP(ヨーロッパ歯周病連盟)は歯周炎の治療ガイドライン1と治療介入のタイミングを発表した.それによると,歯周炎Stage4はさらに4typeに分けられ,歯周炎があって病的な歯の移動もともなう,いわゆる広汎型(慢性・侵襲性)歯周炎Stage4・Grade C・type2の患者にはいわゆる歯周-矯正治療を含む包括的歯周治療が必要になることが明記されている.工藤 求*/吉野宏幸*1/土岡弘明*2*東京都開業 プリズムタワー工藤歯科連絡先:〒153‐0044 東京都目黒区大橋1‐10‐1‐1F*1埼玉県開業 吉野歯科医院連絡先:〒332‐0016 埼玉県川口市幸町3‐8‐46‐202A*2千葉県開業 土岡歯科医院連絡先:〒272‐0023 千葉県市川市南八幡4‐7‐3‐2F EFP主催で3年おきに開催するEuroPerioでは,2015年大会のイギリスのロンドン,2018年大会のオランダのアムステルダムと,歯周-矯正治療のセッションがフォーカスされた. また,本年3月にはベルギー・アントワープにてEFP主催のPerio Master Clinicが“Perio-Ortho Synergy”というテーマで歯周-矯正治療のみに特化した内容で2日にわたり開催され,筆者らで参加した.さらに,2024年1月19,20日にはEFP主催のInternational Perio Master Clinicがシンガポールで開催される予定で,ここでもまた歯周-矯正治療のみにフォーカスした学会となる.光栄にも,筆者(工藤)はこのシンガポール大会に演者として招聘され,インプラントを用いた歯周-矯正治療の講演を行う予定である.このように現在,まさに歯周-矯正治療が世界的にも注目されていることを実感できる非常に良い機会となるに違いない. さて,先に述べた歯周-矯正治療の悩みは歯周病専門医,矯正専門医それぞれの立場になって考えると,意外にも非常に似通った点が見えてくる(図1).136キーワード: CBCT,セットアップモデル, POP Linethe Quintessence. Vol.42 No.8/2023—1802の現在地はじめに~包括的歯周治療のススメ~第3回 歯周-矯正治療における診査・診断Perio OrthoSynergy

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