3演者論202文 歯内療法において,根管の機械的拡大形成が古くから重要な項目であるということは周知の事実である1~3.拡大形成の方法に関してはさまざまな議論が行われ,1988年Waliaの矯正用アーチワイヤーから試作したニッケルチタンファイル(以下Ni-Tiファイル)の研究がはじまり4,1990年代初頭に製品化され今日まで30年の時間が経過した. 開発当初は,シークエンスなど使用方法の研究が盛んに行われていたが,2000年代中盤から後半にかけてニッケルチタン合金の特性に着目した研究が行われるようになり5,6,熱処理型Ni-Tiファイル全盛の時代に突入した.今日では,ジェネリックファイルとも呼ばれる中国などのメーカーが既存のファイルシステムを模倣したような商品(サードパーティとも表現できる)も,市場で多く見かけるようになっている. 2020年,COVID-19による世界的パンデミックがはじまった頃に筆者らが『ザ・クインテッセンス2020年1~4月号』で行った連載から早いもので3年半が経過した.この3年半でもNi-Tiファイル市場では新たなコンセプトやデザインのファイルが登場してきた.本稿では,この3年半でわが国において市場に登場したシステムのなかから,いくつかのシステムをピックアップし,その特徴や臨床での使用感などをまとめてお伝えする.林 洋介*/八幡祥生*1/山内隆守*2UPDATE Nickel-Titanium File 202352*東京都開業 高田馬場 新田歯科医院*1東北大学大学院歯学研究科歯科保存学分野*2東京都開業 赤坂TKデンタル代表連絡先:*〒169-0075 東京都新宿区高田馬場1-29-4Yohsuke Hayashi, Yoshio Yahata, Takamori Yamauchiキーワード: ニッケルチタンファイル,ニッケルチタン合金, 歯内療法the Quintessence. Vol.42 No.9/2023—1968特 集 1はじめにニッケルチタンファイル2023
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