口腔機能心身機能歯科治療の需要在宅等療養患者外来患者在宅・入院患者自立度の低下全身的な疾患治療の難度・リスクの増加高齢者の歯科治療の内容も変化■歯科治療需要の将来予想■口腔の機能低下を経由した全身の機能低下おいて,う蝕や歯周病,歯の欠損といった既存病名を付与することは適切でないが,口腔機能の低下に対する介入を要する患者に対して,適切な歯科治療介入を実施するための病名について検討が開始された.2014年には,国立長寿医療研究センターの研究班より,口腔の機能低下を経由して,全身の機能低下が進行する過程の概念が初めて示された4.この報告書のなかでは,口腔の機能低下はオーラルフレイルと表現され,身体的フレイルの予防には口腔機能の維持が重要であることが強調された(図2).the Quintessence. Vol.42 No.9/2023—199983減少治療中心型歯の形態の回復>口腔機能の回復口腔機能管理減少減少治療・管理・連携型口腔機能の維持・回復>歯の形態の回復従来の需要修復治療クラウン歯周病現在と今後の需要う蝕う蝕なし修復治療欠損なし抜髄歯周病(合併症・副作用含む)加齢による口腔内の変化歯の喪失のリスク増加サルコ・ロコモ期咬合力低下舌運動の力低下食べる量低下サルコ・ロコモ低栄養代謝量低下二次う蝕図1 歯科治療の需要は,従来の治療中心型から,高齢者に対する口腔機能の維持と回復に主眼をおいた治療・管理・連携型の比重が高まると予想されている.(参考文献3より改変・引用)図2 口腔に関するささいなトラブルである前フレイル期や,口腔機能の低下による食習慣悪化が生じるオーラルフレイル期を見過ごしてしまうと,全身的なフレイルや要介護状態に移行してしまう.(参考文献4より改変・引用)う蝕抜髄抜歯ブリッジ部分床義歯総義歯二次う蝕QOL(口腔・全身)・生活機能少子高齢社会の進展疾患(多病)・多剤前フレイル期オーラルフレイル期葉の喪失滑舌低下歯周病・う蝕食べこぼし・ わずかのむせ噛めない 食品増加口腔リテラシー* 低下精神(意欲低下) 心理(うつ)食欲低下活動量低下食品多様性低下生活の広がり*口腔リテラシー①口腔への関心度②口腔保健行動③口腔情報活用能力 などフレイル期摂食嚥下障害咀嚼機能不全フレイル要介護運動・栄養障害
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