ザ・クインテッセンス 2023年10月号
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3演者論202Movie文方が多くおられ,なかでも矯正歯科治療後に歯肉退縮が発生したケースでは,治療後の結果に不安を感じており,さらに歯肉退縮が進行し歯の喪失につながるのではないかという心理的側面をともなっていることが多い. 本稿では,従来困難とされてきた歯間乳頭再建への可能性について,症例をとおして筆者なりに考察してみたい.小野晴彦大分県開業 おの歯科医院連絡先:〒870‐0035 大分県大分市中央町2‐3‐19‐3FThe Potential for Interdental Papilla Reconstruction:The Approach to Recession Type 2Haruhiko Onoキーワード: 歯間乳頭再建,根面被覆術,インナースリングスーチャー36the Quintessence. Vol.42 No.10/2023—2190(使い方:P15参照)スマホで動画が見られる!P40,41,422)歯肉退縮の関連因子と分類 歯肉退縮を引き起こす主な関連因子として,角化歯肉の幅と厚み,歯周組織のフェノタイプ,小帯の高位付着,ブラッシングとの関連などが報告されている.歯周組織のフェノタイプがthin-scallop型の場合,退縮が起こりやすいことはMaynardの分類6でも,また臨床実感としても理解しやすい.特 集 1歯間乳頭再建可能性1)歯肉退縮の疫学 歯肉退縮は主に頬側の辺縁歯肉に退縮が起こり,進行すると歯間乳頭の喪失をともなうもので,結果的に付着が喪失すること,また付随して審美障害,象牙質知覚過敏,根面う蝕,NCCL(non-carious cervical lesion)などの事象が起こることが問題とされてきた1. 近年の研究2~4では,65歳以上の88%,18~64歳の50%に歯肉退縮が1か所以上認められることが報告されており,歯肉退縮を放置した場合,退縮が進行する可能性が高いといわれている5. とくに歯肉退縮を主訴に来院される患者には,前歯部の歯間乳頭の喪失をともなう審美障害を訴えるはじめにRT 2(リセッションタイプ2)の歯肉退縮への対応

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