ザ・クインテッセンス 2023年12月号
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Tetsuya Suzukiキーワード: デジタルデンチャー,3Dプリンター,3Dプリント義歯,ミリング義歯Seven Tips General Practioners Need to Know before Starting Digital Denture Fabrication26鈴木哲也東京医科歯科大学名誉教授連絡先:〒113‐8510 東京都文京区湯島1‐5‐45the Quintessence. Vol.42 No.12/2023—2620 ジルコニアクラウン,CAD/CAM冠など,普及が進んだCAD/CAM技術は,とうとう有床義歯の分野にも展開されてきた.パーシャルデンチャーについてはパーツごとの製作に留まっている感はあるものの,コンプリートデンチャーについては一貫して製作可能な商用システムが,すでにDentsply Sinona社やIvoclar Vivadent社,クルツァージャパン社など多くのメーカーから発売されている.レジンディスクを切削加工するミリング法が先行していたが,口腔内で使用可能な3Dプリント材料が2020年に国内で薬事認可されたことから,3Dプリント技術,とくに液槽光重合法による手法も加わって,臨床応用が加速されてきた1.それらは一般にはデジタルデンチャーとよばれている. このような流れのなかで,デジタルデンチャーを導入するか,もうしばらく様子をみようか思案している先生も多いかと思う.筆者のようにそれなりの年齢の歯科医師は,いまさら設備投資までして始めてもと,逡巡される先生も多いだろう.デジタルデンチャーは何かとても優れたもので,誰がやっても上手くいくのではと,過度な期待をされる先生もいるようだ.ChatGPTがちまたの話題を集めていることから,AIが義歯を作ってくれるような誤解もあるかもしれない.将来的にはわからないが,現在のデジタルデンチャーはそこまでは到達できていない. デジタルデンチャーについては,歯科医師の立場と歯科技工士の立場では導入への壁は大きく異なる.最近,「鈴木先生,デジタルデンチャーやられているのですか?」と聞かれることがたびたびある.その問いの裏には,デジタルデンチャーは新進気鋭の若手がやるものだとの誤解があるようだ.「私はデジタルデンチャーやっていますよ」といった雰囲気を醸し出す者もいる.いまだにコンパウンドで筋形成するような,従来型の歯科医師では無理と考える特 集 1デジタルデンチャー始める前にGP7つはじめにが知っておきたいのことを

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