ザ・クインテッセンス 2023年12月号
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牧 圭一郎/興地隆史東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科口腔機能再構築学講座歯髄生物学分野連絡先:〒113‐8549 東京都文京区湯島1‐5‐45Microscopic Inspection:The Essence of Endodontic MicrosurgeryKeiichiro Maki, Takashi Okiji46キーワード: 逆根管治療,Endodontic Microsurgery,観察, マイクロスコープ the Quintessence. Vol.42 No.12/2023—2640 近年,マイクロスコープは,歯内療法を中心にさまざまな分野で臨床応用されている.マイクロスコープを通じて見える世界は知的好奇心を非常に掻き立てるものであり,「こんなものがここにあったのか!」,「こんなところまで見えるのか!」といった感動を覚えた歯科医師も少なくないであろう. 筆者自身もマイクロスコープに魅了された歯科医師の1人であり,とくに心惹かれたものが,根尖切除,逆根管窩洞形成,逆根管充填を行う逆根管治療(外科的歯内療法)である.逆根管治療を行うにあたっては,根尖部の微細な構造や,根尖周囲の状況の把握が非常に重要となる.そこで筆者が大切にしているのが,“逆根管治療における観察=Endodontic Surgical Inspection”である.この“観察”というのは,ただ高倍率で見ながら処置をするだけでなく,歯内療法の知識に基づいて病変の原因を探るということを示す. 本稿では,逆根管治療における“観察”の重要性,また,それを実践するために必要な考え方,知識,テクニックについて解説したい. 逆根管治療とは,マイクロスコープを用いた拡大視野で,切開・剥離,骨窩洞形成,掻爬,根尖切除,逆根管窩洞形成,逆根管充填,縫合を行う治療法である.逆根管治療の手技を根管治療と比較すると,① 肉芽の掻爬,根尖切除で感染源の除去を行い,― Endodontic Surgical Inspection ―特 集 2逆 根管治療は観察がすべてはじめに1.逆根管治療とは

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