吉野宏幸*/土岡弘明*1/工藤 求*2*埼玉県開業 吉野歯科医院連絡先:〒332‐0016 埼玉県川口市幸町3‐8‐46‐202A*1千葉県開業 土岡歯科医院連絡先:〒272‐0023 千葉県市川市南八幡4‐7‐3‐2F*2東京都開業 プリズムタワー工藤歯科連絡先:〒153‐0044 東京都目黒区大橋1‐10‐1‐1F 前回,土岡が歯周-矯正治療におけるチームアプローチの重要性について述べた.歯周組織の炎症のコントロールができていないと矯正歯科治療が組織を破壊してしまうことを患者に伝えるために,そして,治療を理解するのが難解な包括的歯周治療を患者に説明するためにも,歯科衛生士の役割が重要であることを解説した. 歯周治療やインプラント治療,補綴治療,矯正歯科治療など,さまざまな治療をどの順番でどう進めていくかを術前に整理して,明確に計画を立案することが包括的歯周治療の肝だと考える.歯周治療やインプラント治療が計画通り進められても,矯正歯科治療や補綴治療の検査・診断が不十分だと長期の予後は難しい.筆者(吉野)も以前はそうであったが,矯正歯科治療を矯正医に丸投げしたり,補綴治療を歯科技工士に丸投げしたりしてしまう読者も多いのではないだろうか? とくに,咬合再構成を必要とすることの多い重度歯周病症例は,矯正学的診断や咬合診断を,矯正医や歯科技工士と情報共有することで治療の質が上がることを多く経験する. そこで今号では,包括的歯周治療における咬合再構成について,症例を交えて紹介する. 咬合再構成のステップで筆者が矯正医や歯科技工士と共有している資料を具体的に挙げていく(図1). 現在,咬合再構成を行ううえで治療方針として考えているのが,図2に示す5ステップである.まずは,顎運動や顎関節のCT,模型分析を参考にして,さらに口腔内を観察して下顎位を模索する.次に,顔貌写真やセファロ分析を参考にしてインサイザルエッジポジションを設定し,セファロ分析を参考にして咬合平面の角度を設定する.さらに,顔貌やセファロ分析を参考にして咬合高径を設定して,最後に,プロビジョナルレストレーションを参考にして,適正な咬合面形態やガイダンスを付与していく.138キーワード: 歯周-矯正治療,再生療法,セファログラムthe Quintessence. Vol.42 No.12/2023—2732はじめに咬合再構成の5ステップ~包括的歯周治療のススメ~第5回 歯周-矯正治療における咬合再構成のステップPerio OrthoSynergy
元のページ ../index.html#7