ザ・クインテッセンス 2024年1月号
6/9

adbegcf夜間就寝時に義歯を装着したほうが良い症例 義歯に関するガイドライン1,2によると,義歯性口内炎と残存歯の炎症を低減させることを目的に,夜間に義歯を外すことが推奨されています.一般的には,義歯洗浄剤の広告などにより,就寝時に外して洗浄剤に浸漬しておくという使用法が広く浸透しており,患者さんは“就寝時には入れ歯は外すもの”と認識しているように感じます.大幅に低下する3ことから,粘膜の保護と残存歯の根面う蝕の予防という側面から考えると,やはり就寝時は義歯を外しておいたほうが良いのかもしれません.一方で,咬合性外傷や残存歯による対合粘膜の損傷がある場合は,義歯装着を行っても良いとの記載があります.義歯非装着状態の咬合接触数が少ない場合,咬合性外傷や歯根破折のリスクが高く,とくに夜間のブラキシズムがある場合はとても危険といえます(図1~5). 義歯を外すのか否かについては,総義歯と部分床義歯の違いで考え方も対処法も異なると思いますが,義歯という括りで扱われ,教科書などの記載を見てみてもそこには明確な基準などはないようです.図1a~f 77歳,男性.歯の動揺を主訴に再受診(2018年9月).歯周病が悪化し,歯周組織の炎症を認めた.図1g 再受診時のデンタルエックス線写真.上顎臼歯部ならびに下顎前歯の骨吸収が著しく,保存は困難と判断.高齢であること,口腔乾燥症による根面う蝕のリスクが高いことから,補綴装置による連結固定を避け,歯質切削は可能な限り回避した.the Quintessence. Vol.43 No.1/2024—0079791.義歯を外して寝る理由は?1)就寝時に義歯を外す際の利点と欠点 就寝時は唾液の流量が大きく減少し,自浄作用が

元のページ  ../index.html#6

このブックを見る