ザ・クインテッセンス 2024年1月号
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 皆さんはじめまして,私は江間彩子といいます.精神科医です.この連載を始めるにあたって,簡単に自己紹介をさせてください. 私は,精神科救急を担う精神科単科病院で,主に入院を要するような重症の精神疾患を抱える患者さんたちの治療に携わっていました.はじめから精神科医として働いていたわけではなく,山梨大学医学部を卒業し慈恵会医科大学附属病院での初期研修を受けた後は,小児科で研鑽を積んで日本小児科学会専門医を取得しました.その後,児童精神の分野に進むことを志して勉強をしていくなかで,子どもの精神状態を良くするためには親への介入が必須であると気づき,成人の精神病理を学ぶために精神科へ転向しました.その後は,日本精神神経学会専門医・指導医,子どものこころの専門医・指導医を取得しています. この連載のきっかけとなったのは,歯科医師である実弟の江間秀明先生から,とある患者さんからのクレームへの対応について,相談を受けたことでした.その患者さんがなぜ怒っているのか,クレームを言うことで何を求めているのかを精神科医の視点から説明し,それを踏まえた対応の仕方を伝えたところ,その後は何事もなく,トラブルを回避できたという出来事がありました.後日,その内容を他の歯科医師の先生方にもお話する機会をいただき,それがこの連載につながったのです. この連載では,秀明先生に歯科医院での“あるある”なシチュエーションを提供してもらいながら,激昂する患者さんやいわゆるクレーマーといわれる患者さんへの対応の仕方について,私が精神科で培った経験をもとに解説をしたいと思います.私の経験では,適切な知識とスキルを用いて対応すれば,どんなに重い精神病を抱えている患者さんでも感情のコントロールは可能です.大切なのは,こちらがどんなリアクションをするかなのです. この連載を通じて,読者の先生方の負担が減り,日々の診療がしやすくなるお手伝いができれば幸いです.執筆:江間彩子(精神科医/ドイツ在住)協力:江間秀明(歯科医師/江間ファミリー歯科・矯正歯科)126the Quintessence. Vol.43 No.1/2024—0126連載のはじめに新連載精神科医が教える自分とスタッフのこころを守るクレーム対応テクニック

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